近年、ノーベル賞の晩餐会で振る舞われるなど、海外の人にとって親しみやすいものになりつつある日本酒。なかには、日本酒に魅せられた外国人が日本の酒蔵で造りを学び、アメリカやカナダ、中国などをはじめとする世界各国で、SAKEを現地醸造をするケースも増えてきています。
今回は、カナダの「Ontario Spring Water Sake Company」をご紹介しましょう。
大都市・トロントで醸されるSAKE
カナダ東部のトロントに蔵を構える「Ontario Spring Water Sake Company」の創業は2011年。おしゃれなレストランや雑貨店でにぎわう、ディスティラリー地区の裏道にひっそりとたたずんでいます。入り口には、酒蔵らしく杉玉(酒林)が吊るされていますね。
中に入ると、現地の方を中心に試飲カウンターがにぎわっていました。お店でしか飲めない生酒や、飲み比べのセットが人気なのだとか。
飲み比べも可能!初心者にもおすすめのラインアップ
「Ontario Spring Water Sake Company」の代表銘柄は「泉」。仕込み水は現地の湧き水、酒米はカリフォルニア米、そして酵母もアメリカの乾燥酵母を使っています。
こちらは、カウンターで飲むことができるお酒のメニュー。「Tasting Flight」は、"飲み比べセット"を意味しているようですね。
たくさんあるラインアップのなかから、今回は2種類をいただきました。
まずは、泉の代名詞ともいえる「Nama-Nama(生生)」。アルコール度数15%の純米酒で、店頭では「メロンや洋ナシを思わせる香りと穏やかな酸味がとても良いバランス。フルーティーで、初心者も飲みやすいお酒」と紹介されていました。爽やかな印象があるため、お酒を飲み慣れていない方にもおすすめできる1本です。
続いては「Teion Sakura (低温桜)」。こちらは「熟成した青リンゴの香りと強い酸味のバランスがとれたお酒。伝統的なお酒というよりも、ドライな白ワインのような特徴がある」と、説明されていました。実際に飲んでみると、たしかに白ワインと疑ってしまうほど。チーズや干しイチジクなどが合いそうですね。
そして、お酒に欠かせないのが、おつまみ。「現地のお酒に合うおつまみは、現地の人に聞こう!」ということで、カウンターでお会いしたトロントの方に聞いてみました。
なんと、このお酒に合うおつまみは同じディスティラリー地区にある美味しいチョコレートだそう!こちらの「SOMA chocolatemaker」というチョコレート店を紹介していただきました。
岩塩やチリを散らした板状のものから、一粒一粒が可愛らしいおしゃれなものまで豊富なチョコレートが取りそろえられています。
今回は塩キャラメル味のチョコレート(画像左)と「Teion Sakura」を合わせました。
塩気を感じた後、一気に広がるチョコレートの風味となめらかさ。その後に続く、お酒のすっきりとした酸味。さらに、最後に残るどっしりとしたキャラメル感にしばしうっとりとしてしまいました。
「SOMA chocolatemaker」には、チョコレートの製造を見ながら食べることができる、濃いチョコレートアイスもあります。このアイスには貴醸酒をかけても美味しそうですね。
国内旅行で美味しい日本酒を楽しむのはもちろん、 海外への旅行先で現地の人に親しまれているSAKEを巡るのも楽しいですね。素敵な景色と雰囲気のなかで、ふだんよりもお酒を美味しく感じられるかもしれません。
(文/spool)